NPO未来化プロジェクト 代表理事 佐藤和枝

先日、こんな話を聞きました。

「保育士をしている私は、三歳の子供を保育園に送り迎えをし、食事の支度や洗濯などしています。パートナーはトラックの運転手をしていますが、家事をもう少し手伝ってもらいたいのです。そんな夫婦にアドバイスしてほしい」

 

あなたなら、何とアドバイスしますか?と聞かれました。

 

「トラックの運転手の仕事も大変だけれど、家事や育児は女性がするものと思い込んでいるのかも知れない。協力してもらうようご主人と話し合うのがいいでしょう。お互い忙しくてコミュニケ―ン不足だと思います」

 

ところが、保育士はご主人(男性)の仕事で、トラックの運転手は奥さん(女性)の仕事でした。

筆者は性別役割分業に対する意識は高いと思っていましたが、自分のバイアスの存在に気づき、愕然としました。

 

ここ数年、女性の社会進出が進む一方で「イクメン」「家事分担」などの言葉が聞かれ、男性の家事参加が増えてきています。

しかし、日本のジェンダーギャップの指数は、120位(2020年)と世界の中でも下位に位置しています。このことは、無意識バイアスと無関係ではありません。

 

では、なぜ無意識バイアスは存在するのでしょう。

専門家は「この無意識バイアスの形成には本人の育ってきた社会環境や家庭環境が大きく影響する。3~5歳の幼児にも大人に似た無意識バイアスがすでに形成されており、無意識バイアスは1度できると消し去ることは困難であることが、研究により明らかになっている」と述べています。社会通念として根深いと感じます。

 

無意識バイアスは、無意識だからこそ自分の中に存在することに気づかないでいます。

性別役割分業観の社会通念が内在していることを誰もが意識していけば、無意識バイアスも緩んでいくことでしょう。