NPO未来化プロジェクト 理事 横山順子

前回、私が書いたコラム『わたしたちが知るべき「不都合な真実」』の投稿後、大前研一「これからの福島原発の話しをしよう」事故から10年の福島原発“3大問題”が、PRESIDENT(デジタル版)から発信された。
福島原発が抱えている課題を、素人でも分かりやすく説明され、ニュースで見落とされてきた「事実」と、背筋が寒くなるような「不都合な真実」が数々あり、再度「原発」のテーマで、「知るべき」から「考えるべき」と強調して書くことにした。

東京オリンピック2020は、震災からの復興の後押しと、被災地が復興した姿の世界へのアピールをテーマに開催されている。しかし、福島原発の廃炉内部は、今も正確な実体が分からず、デブリを取り出す方法は今のところ見当もつかない、という状況は10年経っても変わらないままである。
増え続ける放射線汚水処理水は、今も毎日140トンずつ増えていて、来年2022年夏以降に保管容量は限界を迎えるという。だから、オリンピックは今年、開催ありきだったのか・・・と、憶測が頭をよぎる。

また、前回のコラムでも書いたが、原発から出るゴミ「⾼レベル核廃棄物」の問題である。
核のゴミをガラス固化体にして、地下300メートル以深に埋める「地層処分」が国の方針だが、最終保管場所は決まっておらず、ガラス固化の技術も未完成だという。
2020年1月現在、世界の31の国と地域で437基の原子力発電所が運転され、今、39の国と地域で59基が建設中、82基が計画中だが、スウェーデンとフィンランド以外、「⾼レベル核廃棄物」の最終保管場所は決まっていない。

そして日本では、原発事故以降、学生の「原子力離れ」が進んでおり、早く手を打たなければ「原子力人材」が枯渇し、自国での原発対処が不能になってしまうことも危惧される。というではないか。

さらに驚くことに「原子力規制委員会」は事故が起きないようにする組織だから、事故が起きたときには、それとは独立した専門家集団が官邸で判断、指揮などを首相に進言しなくてはならない。とあり、一分一秒を争う非常事態(福島原発事故)の時に、このような組織形態では対応しきれなかったことが、今更ながら理解できる。

コロナ禍の政府対応においても同じようなことが起きていると感じるのは、私だけだろうか。
今は、「不都合な真実(リスク)」を知るだけでなく、国民ひとり一人が考えて行動すべき時代に入ったと自覚したい。でないと、コロナのように「不都合なこと」は突然やってくる!から・・・。